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河合和美

岡山

1984年 愛知県生まれ
瀬戸にて陶芸を学んだのち、岡山へ

山での暮らしから受け取った土や灰、気づきを
自然の霊性の結晶核的存在として作品たちに纏わせ
届けたいと願う

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春の初めに伺ったのがつい最近の事のようですが、夏が終わり、過ごしやすい穏やかな10月の頭に、岡山県の山の中で作陶する河合和美さんの工房を再び尋ねました。

彼女の作品を個展という形で紹介できる事を本当に心待ちにしていました。彼女が大切に築いて形にしてきた作品と、この場所でやるならと今回も私との新しい共作作品や、ens のある山の土地の土を使った作品が一堂にたくさん並びます。

河合和美と ens 、双方に共通する山から頂くイメージを持った展覧会『あの山から』を開催するにあたり打ち合わせと取材をしてきました。

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独自で感覚的

彼女の作品、彼女自身を言葉で紹介する際に、どんな風に伝えようか。とても考えるのですが、一言で言うと「本当にセンスの良い人」。

こんな言葉を選ぶと、なんだかとても安っぽく聞こえてしまう気がして、もっとふさわしい言葉はないかと自分自身残念に思うのですが、彼女の持つ感覚は非凡であり、とても優れている。私は本当にそう思っているのです。

彼女の作品や制作について話したり見たりする中でいつも思う事は、言語に収まらないということ。

VOL.02   exhibition「あの山から」取材より 2021年10月

「素朴で懐かしさを感じるのにモダンで洗練されている」

「柔らかくもあり野性味を感じる力強さもある」

「料理映えし使い勝手も良く使用の美を備え持ち、それでいて使用出来ようが出来まいがどうでもよくなる目で愛でる美しさも感じる」

上記に並べた双違反する様な言語の全てが当てはまる様でいて、それだけでも表せないうまく言葉に収める事が出来ない作品を生み出す人だなと思うのです。

彼女の作品と対面するといつも驚きや刺激を貰い、その独自なセンス、感覚的な感性に感服するのです。

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型と手捻りと時々轆轤

彼女の作品でよく用いられる一つの作品を形成する中で、型と手捻り(そこにプラスして轆轤を用いる場合もある)を用いて形を形成していく制作過程があります。

型ごと轆轤の上に置き、形作っていくその独特な方法を初めて目にした時、概念のないその感覚にとても興味惹かれた事を憶えています。

その一風変わった形成作業の流れは、彼女にとっては無理がなく、ごく自然に土の固まりから完成形までを導いてくれている様なのです。そしてこの形成方法が一点物のようないろいろな形を生み出し、ごく自然な揺らぎのある美しさを与えている様に思うのです。

その結果、作品を買う側であるお客様に、自分にとってしっくりとくる物、自分にとって良いと思う物、そんな選ぶという行為が生まれると彼女は言います。

彼女曰く、「私がこの形が飲みやすいでしょ。と決めつけるのではなく、人が選ぶ過程を作る事が大事だなと思っている。私の方も器に伸びしろが出来る感じがして、自由だなと感じる。」

人はそれぞれ違っていて当然で、誰かにとっての口当たりが良いだったり、なんだか心地が良いと感じる感覚はそれぞれで、十人十色なのだから、これが完璧な形だと一つを決める事だけが正解ではないなと、彼女の話を聞きながら思い、また彼女の器にはそんな寛大な大らかさと自由さがある様に感じるのです。

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河合和美 × 川井有紗

一番最初に書いた様に今展も私達の新しい共作作品が並ぶ予定です。

あらかじめ、こんなの作ってみたいねというアイデアをお互いが持っていて、そのどちらのアイデアもお互いにやってみたい!!となるのがいつもの私達。お互いへの興味とリスペクトがあるからこその制作に、私としては感謝の気持ちしかないのです。

共作の醍醐味は、予定調和に最後の最後までならない事。自分一人の世界ではたどり着かない広がりの中で、今まで築いてきた概念を壊し、遊べる楽しさがあります。そして、無限に広がる可能性を感じるのです。

ですが、こんなにスムーズに共作出来る相手というのもそうそうはいません。相性もあると思うのですが、なぜか私達が工房で二人手を動かし始めると何一つの引っ掛かりもなく、アイデアを出し合い意思疎通が出来るのです。

 

言葉にして言い合う事は大体が感覚的な事だけで、それ以外は共に身体を使う事で理解し合っている様に感じます。そして自然と遊びが始まり実験し、いきなり成功する場合もあれば、失敗する事もあり、素材との対話の中や山から頂く物をそのまま形におこす感覚と夢中になる事で、共作の完成形が見えてくるのです。

今展の題名にもある「あの山から」を形にした共作作品達もぜひ楽しみにしてもらえればなと思います。

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ens という場

「ens のイメージってどんな感じ?」彼女に聞いてみました。すると彼女からはこんな言葉が返ってきました。

 

「ここ(彼女の住む場所)とある意味近い感じ。何か守られている感じがある。受け取るものがたくさんある。」

「後は、ありちゃんってこんな感じじゃん(笑)私もかっこいいの作んないとなって思う」

私ってどんな感じだよ??と突っ込みつつ、素敵な言葉を貰い、同じ物作りをする人間としても、空間を用意し、作り手を紹介するギャラリーの人間としても、宝物みたいなキラキラとしたものを頂きました。

VOL.02   exhibition「あの山から」取材より 2021年10月

そして彼女は言います。

「まずは自分が納得しているのが一番大切。アイデア、発想の出処、過程に自分が納得していれば出来上がる物は良いって信じられたし、教えられた。」と

この場所と関わる中で、尊敬する作り手の方々に少しでもプラスな発見や精神性が与えられたなら、そんな幸せな事はないなと思うのです。

この場所でしか味わえない感覚や、この場所でしか出会えない作品達と出会える場として、お客様に純粋な気持ちで紹介していけたらなと、私自身彼女とのやりとりの中で改めて強い想いを抱くのです。

11月20日(土)から始まる exhibition 河合和美「あの山から」をどうぞ楽しみにご期待ください。皆さんにお会いできる事を心より楽しみにしています。

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photo | Ayaka Onishi

exhibition

河合和美 「あの山から」

2021. 11. 20 sat  -  11. 28 sun

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