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玉井健二

​大阪

1966年8月大阪生まれ
SEWING TABLECOFFEE 店主
時々ギター弾き、たまに工作人、
原っぱで煙草をふかす、ビールが一番好き
作品集 08_09 Play with ships (BOOKLORE )を出版

 

玉井恵美子

1968年4月大阪生まれ
SEWING TABLE COFFEEを副店主
SO SEAの名で、日々の過ごす中から紡がれた衣を縫っている。
Huraを踊ったり、Leiを繋げたり、、
来世の夢は、貝殻のビキニを着て波乗りビッグウェーブに乗ること。
今世の夢は、海の側で暮らすこと。
著者に「夾竹桃の花が揺れる頃に -a diary of sewing table coffee 」 (WINDCHIME BOOKS) を出版。

 

二人の著書
sewing table coffee
10年を記録した
「貝殻となり」(BOOK LOER) を2012年に出版。

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大切な場所や特別な場所、心の拠り所になる場所、美しいと信じられる場所。

私達が生きるこの世界にたった一つでもそんな場所があれば、人はいろいろな事があってもどうにか生きていけるのではないかと思うのです。

私にとっても、間違いなく特別で美しいと信じられる場所、大切に想い続けられる場所があります。

初めて訪れた日のあの衝撃や不思議な感覚は今も色褪せる事なく私の身体の中に存在していて、そんな特別な場所に出会えたきっかけになったお二人に、展示のお願いをし取材をさせて貰いました。

exhibition「ふねとふく」取材より 2022年2月

大阪枚方市星ヶ丘という町にある星ヶ丘洋裁学校内で珈琲屋、SEWING TABLE COFFEE を営まれている玉井健二さん玉井恵美子さんです。

私の大好きな人達、お二人の事は必ず ens で紹介したい!!そんな想いを持っていました。

今から14,5年前に初めて出会い、私が20代半ばから今でも繋がって下さっている、私にとっては人生の先輩であり、こんな風に楽しそうに暮らして生きている大人がいるんだと、世界を広げるきっかけをくれた人達です。

お二人と一緒にいると、とっても素直に自分の心を解放出来、気づけばいつもたわいもない事で大きな口を開けて笑っていられるのです。

とっても自然体で無理がなく、こんな風でありたいと思わせてくれる人達です。

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星ヶ丘洋裁学校との出会い

星ヶ丘洋裁学校の門を通り抜けると、途端に不思議な感覚に包まれます。住宅が並ぶ団地の中に突然現れるこの場所は、この場所だけが持つ独特な空気、現代に確かに存在しているのに、何処か違う時代に存在している様な懐かしさと慎ましやかな空気を感じるのです。

沢山の木々が並び、その木々が小道を作る様に小さな道が続くと、突然野原が現れ風が気持ち良く吹き抜けます。敷地内の一番奥、入ってみなければ分からない秘密基地の様なワクワク感を抱きながら辿り着く場所に SEWING TABLE COFFEE はあります。

店主のエミさんが今から20数年前にこの学校と運命的な出会いをし、この場所で珈琲屋を営み20年あまりが経ちます。

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SEWING TABLE COFFEE の誕生

エミさんは言います。

「初めてこの場所に出会った時、懐かしさを感じて、この学園の園長とか集っているお母さん達、ここで営まれている人の営みに強く惹かれていったんやと思う。幼い頃から見てきたお母さんの喫茶店の風景みたいな、懐かしい感じに似てた。」

エミさんのお母さんもエミさんが幼い頃から、孫が生まれるまで喫茶店を営んでいたそうで、お母さんからの影響が彼女にとって、とても大きい事を話を聞く中で知っていきました。

「幼い頃からお店は面白いものやと思っていて、そこには活気があって、皆楽しそうに働いていて、いろいろな人が集って、それぞれの人の事情も垣間見えたりして、日々いろいろあるけれど最後には皆、ガハハハハハ!!と笑っている、そんな風景が広がっていてこの学園に流れているものにも、何か似たものを感じていったんだと思う」

エミさんはこの学園に集う人達とのやりとり、この場所で生まれる営みの中にいるのが好きで、この場所に通い出したそうです。

そんな日々を過ごす中で、SEWING TABLE COFFEE という場所は、とても自然で必然的な流れで誕生したのです。

「珈琲屋がやりたい!とか、珈琲が凄く好きとか、そんな事で始まった訳ではない。」エミさんは言います。

「すぐ側にお母さんから譲り受けたサイフォン珈琲の器具があったから、この場所が好きやし何かやったら面白そうやから!!」

 

初めはそんなとってもシンプルで単純な想いからお店作りが始まったそうです。

この話を聞いていると、私はエミさんという人間をとっても強く感じる事が出来るのです。そして何故だか分からないけれど、笑みが溢れて笑ってしまうのです。笑いながらエミさんのそういった素直さやシンプルさ、楽しいとか面白いとか、そういった感情のままにとても自然体で生きている所に、私は彼女の美しさを見ているし、惹かれているのだと思うのです。

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大らかで、へんてこで、愉快で美しいもの、全て日々の暮らし生活で必要なもの

玉井夫妻は日々珈琲屋を営みながら、物作りもされています。作家として生きて行きたいからとかそんな理由ではなく、自分が生活で必要な物、自分とか家族が使う物、只々側にあるもの、ここにあるものを使って手を動かします。

エミさんはお店で使う飲み物や軽食を出すための皿やカップを作ったり、冬場に使うブランケットを編んだり、夏に使う団扇を側にある植物で作ったり、日々自分達が着る服を作ったり、自分や家族、お店で必要なもの達を作っています。

幼い頃から工作や物を作るのが好きだったエミさんは、お母さんの喫茶店でもよく工作をして遊んでいたそうで、その時のお母さんとのやりとりが今の物作りにも、とっても大きく影響している事を教えてくれました。

「真っ直ぐに切ったり線をひけなくて失敗しても、それを全部面白がってくれる人やって、ここがはみ出てるから面白いやんって言ってくれる発想の転換をしてくれるお母さんやったから、私昔から失敗する事が全然怖くないねん。作る事に対して自由でいいんやでって意識してない所で染み付いてると思う。」

こんな話をしてくれました。

エミさんの作る物は大らかで豪快でへんてこりんで愉快。綺麗に整えられたものではなく、とっても美しくかっこ良くはみ出している。自然と笑みが溢れ笑い声が聴こえてくる様に感じ、愛さずにはいられない物ばかりなのです。

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只々側にあるもの、ここにあるもの

旦那さんのタマケンさんはすぐ側にある廃材や拾ってきた流木、人から託された物を使って船を作ります。

タマケンさんって何て不思議な人だろう!?私はタマケンさんの事をとっても珍しい人だと思っています。それは掴みどころが無く不思議ちゃんと思っているからでは無く、素敵な物作りをする人の中でこんな人はタマケンさんしかいないと思っているからです。

タマケンさんは言います。

「別に何か作りたいとか何もないねん。暇やったからたまたますぐ側に廃材がいっぱいあったし、夏休みの工作みたいに何か作ろうかってなっただけやねん。」

そんな所から始まった船作り、SEWING TABLE COFFEE を営みながら、空いた時間に作り出したそんな船を見ていると、何も繕わない、余計な事を付け足したり、かっこつけたり、よく見せたりしない潔さや、只々日々を営む美しさを強く感じるのです。

「作り続けてるのは、声をかけてくれる人がいてくれて、誘ってくれる人がいるから、その人の為に作ってる。自分の好きな人らがそうやって言ってくれるから作ってるだけや。自分が何か作りたいとかほんま無いねん。」

文章にするとぶっきらぼうに感じるかもしれませんが、私はそんな風に正直に話すタマケンさんの本質に触れていると、何故だかとても気持ちが楽になっていくのを感じるのです。

人って何処かっこつけたり、人から良く見られたいと他者を気にして生きている所があると思うのです。だけどタマケンさんからはそういった部分を本当に感じないのです。

 

こんなに欲深く無くて、正直な人私は多く知りません。

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本当に大切な事

タマケンさんから感じる事はとてもシンプルです。本当に大切にしたい事だけを大切にして生きている。それだけです。

一番大切なのは奥さんのエミさんの事、エミさんが毎日笑っている事、二人で営む珈琲屋で美味しい珈琲をきちんと丁寧に淹れる事、この場所で出会った大切な人達に誠実でいる事、自分が信じる大切な事をきちんと大切にする事。

そんなシンプルな事でタマケンさんの生き方は出来ている様に思うのです。タマケンさんという人間の美しさがそのまま生写しの様に彼の作る船には宿っていて、何もない所にタマケンさんの船を大切に置いておきたい。身体の力を抜いて身に纏ういろいろを脱ぎ去って、真っさらな気持ちでタマケンさんの船を側に置いて見つめていたいと、そんな風に想うのです。

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いつも心に海を

お二人自身や作品と対話していると、生きているといろいろな事があるけれど、複雑に考えなくても大丈夫。何をしたら良いか分からなくなったら、すぐ側にあるもので何かをし始めてみたら良い。何でも面白がって、思いつきでも良いから楽しんだら良い。沢山を持たなくても、そこで生まれる大切にしたい事を只々大切にして、心に大きな海を抱きながら波間でユラユラと踊りながら愉快に生きて行こう!!

そんな事を語りかけてくれている様に感じるのです。

私の大好きなお二人、こんなに面白く楽しそうに生きている人がいる事を伝えたい。私としては只々それだけだったりもします。

 

是非是非お二人に出会って欲しいです。

春の陽気が広がるお山の上に是非遊びにいらして下さい。穏やかなキラキラと光広がる海を感じれると思います。どうぞ宜しくお願いします。

exhibition「ふねとふく」取材より 2022年2月

photo | Ayaka Onishi

exhibition

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ふねとふく

2022. 03. 26 sat  -  04. 03 sun

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